鳥を飼っていた。
よい声で鳴く鳥だった。
私は鳥に おと と名づけ、
おと おと と呼んでかわいがった。
ある日 おと は消えて、その代わり
うつくしい女性がそこに居た。
私たちは時を経てむすばれた。
そんな私たちの間に、子が宿った。
だんだんと大きくなるお腹を
2人で撫でながら、
子の名前を考えた。幸福だった。
しかし子を我が手に抱くことは
できなかった。
おとは泣いた。
泣いて 泣いて 泣いて…。
私は云った。
泣くな と。もう泣くな と。
私はおとの悲しい声を聞くのが
耐えがたかった。
どこまでも自分の感情が大事で、
おとの感情に寄り添えなかった。
だから、それから3日のち、おとは消えた。
尾羽ひとつ、鳥かごの底に残して。
7/26/2023, 1:42:33 AM