星が溢れる
ネオンがキラキラと光る眠らない街、東京から彼と一緒に地元に帰省した。俺たちの地元は田舎で、コンビニだって23時には閉まるし一店舗しかないスーパーなんて19時には閉まってしまう。ここへ帰ってくるとあんなに煌びやかな世界なんて嘘なんじゃないかと思ってしまうほど辺りは暗い。
ここで煌めいているのはネオンなんかじゃなくて空にある月と星だけ。空気が澄んでいてまるで星が溢れている様だ。
とても、とても綺麗で思わず彼に電話をした。
「ねえ、星。」
「は?星?」
「うん。星めちゃくちゃ綺麗だよ。」
「お前今どこにいんの?」
「どこだと思う?」
「どうせ海だろ?」
「よく分かったね、正解」
「お前のことなんて誰よりも知ってんだよ。」
「俺よりも?」
「当たり前だろ。お前自身よりもお前を知ってるわ」
「早く来てよ」
「今向かってる」
「じゃあ電話繋いだまま来て」
澄んだ空気と、波の音と星が溢れた空、それに彼の声。
俺の彼への気持ちも溢れ出しそうになって、なんだか泣きたくなった。
3/15/2023, 2:17:41 PM