ほむら

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今日は満月が綺麗な夜だ。太陽より優しい、青い光が私たちを照らしている。私の大好きな曲のように、不思議な事が起こって欲しいな、と思いながら彼の方を見た。月を見上げる彼の横顔は月明かりに照らされて美しく見え、思わず見とれてしまった。それに気づいた彼がこちらを見ると、首を傾げて私に問いかけた。

「おや、俺の顔に何かついていますか?」
「ううん、あなたの横顔が美しくて見とれてた…」
「ふふ、嬉しいですね。貴方もとても綺麗ですよ」

月の光を反射して輝く彼の瞳が、私を真っ直ぐに見つめるものだから、思わず私は赤面してしまった。太陽の光だったら全て照らされてしまうけれど、月の光はちょうどそんな表情を隠してくれる明るさだったのが救いだった。

「私がダンスを踊れたらなぁ…」

再び月を見上げていたら、思っていたことが無意識に口から出てしまった。はっ、と我に返ったときには既に遅く、彼にも聞こえていたようでこちらに微笑んでいた。

「それなら、俺と踊ってくれませんか?」
「えっ、でも…」
「大丈夫です。貴方は俺の手を取ってくれるだけで良いんです」

そう言って、彼は跪いて手を差し伸べた。ドキドキしながら彼の手を取ると、そのまま引き寄せられた。すると不思議なことに、ワルツなんか踊ったことないのにも関わらず、私の足はステップを踏んでいた。彼のリードに身を任せながら、くるくると回るように踊る姿を、月明かりが優しく照らしている。

あぁ、どうか時を止めて。このまま彼と踊っていたいと、私たちは心の中で月に願いをかけた。

テーマ「月に願いを」

5/26/2024, 12:15:50 PM