あにの川流れ

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 朝起きたきみは、まずベッドを整える。クローゼットと水場を行き来して、身形を納得ゆくまで。

 今日はぼくが担当。
 きみがセッティングしたテーブルにお皿に盛り付けた朝食を置いて。楽しみながらも所作に気をつけて、「いただきます」「ごちそうさま」もしっかり。
 冷たい水道水にぼやきつつ、きみの手は手際よく順序よく。泡から救い出したら水気も残さない。

 バラバラ、し忘れ、入れっぱなしのぼくを叱りながら選別して洗濯機。
 合間に花のお世話。
 きみのお目々はお花にうっとり。
 ベランダで気持ちよく日光に当たりながら、テキパキと吊るして。

 きみが好む紅茶。
 その手さばきはもう、誰かが言った「芸術だ」。ぼくはじーって見ちゃう。やべっ、お湯回しすぎちゃった。

 テレビを点けたらどこかの、なんか、いい感じの景色。大自然。
 ナレーションにうんうんって頷くきみ。

 「こんなきれいなところに、一度は行ってみたいですねぇ」
 「……」

 ぼくはいまのままで充分。これ以上はちょっと、美しいの過剰摂取になっちゃうの。
 ふと、気になる。

 「ねぇ、きみの美しいってなあに?」
 「え」

 振り返ったきみはきょとん。
 じわじわと考えが巡って、棄却して、一瞬こころが揺さぶられて、やっぱり違って。トライアンドエラー。
 お目々がすっごく動く。

 「あ」「え…」って言い詰まって、たぶん、考えすぎ。頭がぐるぐる。パンクしそうに。
 豊かな分、言いたいことがありすぎて選べない。よくあること。

 きゅ、って口を引き絞ったきみは、納得できてないお顔。「まっ」、一回詰まって。

 「まだ、何も言えることがありません。もっと経験を積んで吟味します」
 「わぁ」

 ――――なんて美しい□□□□(文字数不順)‼



#美しい



1/17/2023, 8:56:02 AM