美佐野

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(旅は続く)(二次創作)

 果たして全ての灯台に火が灯り、世界を救う旅は終わった。後にハイディア戦士と呼ばれるエナジストたちのリーダーを務めたガルシアは、しばらくハイディア跡地に留まることを決めた。ソルブレードを携え、優れた剣と地のエナジーの使い手に成長した彼だが、ひとところに腰を落ち着けたかったのだ。
 そんなある日のこと。
「久しぶりですね、ガルシア!」
 レムリアの船を駆ってウェイアードのあちこちを回っていたピカードが、ハイディア跡地に顔を出した。いっぱしの戦士として、船長として、一人で海を欲しいままにしているピカードだが、困った事態に遭遇したのだという。
「宝島を見つけたのですが、どうも何人か旅人が迷い込んでしまったらしく……」
 暇していたガルシアに彼を助けない選択肢はなく、ジェラルドとイワンも伴い宝島に出掛けた。幸い、すぐに攻略できたし旅人たちも救出したが、今度はとある漁村が強くなった海の魔物に困っていると聞いた。
「アンガラ大陸の南端ですか……テレポートのラピスでチャンパまで飛んで、そこから向かいましょうか」
「ナイスですよ、ピカード」
「便利だな、それ」
 イワンもジェラルドも乗り気で、一人帰るとは言えないガルシアもついていった。
 終始そんな感じだ。黄金の太陽現象を経て、本来の姿を取り戻した世界は、しかして急速にエレメンタルで満たされた反動で様々な問題が起きていた。新しくエナジストになった者が力を持て余したり、獣の顔と人の肢体を持つ種族が生まれた。街や村は併合や侵略を経て国の形を取りつつあり、その過程で社会は荒れ弱者は虐げられた。
「…………」
 ガルシアは今、とある街に一人で逗留している。故郷に残した妹や仲間には、行き先は伝えていない。便利屋をしながら、時に別の街に行き、時に盗賊を潰し、目の前の人々に手を差し伸べる日々に身を窶していた。旅はまだまだ続くのだ。

10/1/2025, 9:50:06 AM