Ryu

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昨日、後輩から相談を受けた。
職場の先輩を好きになったと言う。
どうすればいいかと判断を求められて、それはあなたの思うがままに、とアドバイスをしたが、相手は誰かと聞いてみたら、私の彼氏だった。
後輩は、私達の関係を知らない。
だからこんなことも起こり得るんだろうけど、何でよりによって私に相談してくるのか。
そして、あなたの思うがままに頑張って、とエールを送った私のアドバイスは、結果自分の首を絞めることになるのだろうか。

昨夜、帰宅したら、彼からLINEがあった。
仕事の帰り際、例の後輩に声をかけられて、告白されたと言う。
早い。早すぎる。
さて、これを私に報告してくれる彼の行動を喜ぶべきか、訝しむべきか。
彼は正直な人だ。黙っていられなかったのだろう。
そしてその告白が、嬉しかったとも言っていた。
後輩は、若くて可愛い。そりゃ嬉しいだろうな。
わざわざ伝えてくれなくてもいいのに。
彼女は明日も頑張るだろう。
何故って、人生の師とも言えるほど経験豊かそうな先輩に、そうアドバイスされたんだから。

眠れない夜。
悶々と、考えても意味のないことを考える。
私のアドバイスは、何か間違っていたのだろうか。
でもあの時は、彼女の意中の相手が誰かなんて知らなかった。
諦めなさい、なんて言う理由がない。
じゃあ、明日会ったら、彼は私の恋人だと告げようか。
だから諦めなさい、と?
昨日とはまるで正反対のアドバイスを?
誰かを好きになることは自由だ。
私にそれをやめさせる権利なんてない。
あとは彼がどう動くか、それに尽きるのだろう。

それなら、この眠れない夜にも意味はない。
どうにもならないことだから。
後輩の屈託のない笑顔を思い出す。
仕事も恋愛も希望に満ちて、前に突き進むことに不安を感じる隙間など無いように見えた。
いや、実際には彼女なりの不安や悩みもあるのだろうが、それを乗り越えてゆくメンタリティを感じた。
心のどこかで、彼女を応援したくなる。
だけど、彼への恋愛と、彼女への親愛を比べることなんて出来ない。
私だって、幸せになりたいんだ。

結局、眠れないまま夜が明けた。
私が出した答えは、すべて正直に打ち明ける、というもの。
その上で今後起きる葛藤や困惑は、甘んじて受け入れよう。
たとえどんな状況に陥ったとしても、この夜のように、きっと夜明けはやってくる。
私も彼女も、ただただ、幸せになる道を模索しながら生きるのみ。

いつもよりちょっと濃いめのメイクを終えて、玄関のドアを開けた。

4/29/2025, 12:15:31 AM