蒼井 花丸

Open App

「勝ち負けなんて」
保育園の時、運動会のかけっこで惜しくも2位になってしまった子が泣いていた。「あと少しだったのに、あと少しだったのに、」と、正直私は拗らせていた子供だったので(勝ち負けなんて、そんなに泣くことないのに)と思っていた。小学校に上がってからも運動会で私のクラスが最下位になり、クラスメイトの皆が泣いている時でも私は(勝ち負けなんてどうでもいい)と思っていた。私は勝ち負けで泣いた事が1度もなかった、どうでもいいからだ、勝ったって負けたってどうでもいい、正直ささいな事で競っては勝ち負けで引くほど喜んだり、心配になるほど落ち込んでいる人達を尻目にそう思っていた。中学校に上がって私は新しいことを始めてみようとバスケ部に入ってみた。友達もいたし、バスケはたまに遊んだりしていたので「無難かな、」と思いながら入部した。友達もバスケ部に入部していたし、先輩たちは気さくな人ばかりで部活には楽しく取り組んでいた。8月頃地域での少し大きな大会があった、私の通っている学校は元々生徒が少ない事有名なくらいだったのでバスケ部も部員が少なく1年生でも大会に出られた。初めての大会だったので私はいつもより力を入れて練習をしていた、珍しく負けたくないと思ったのかもしれない。大会当日、私は緊張を無理やり押し込めて試合に挑んだ。相手はなかなか強かったが私達が結構押していてこのまま勝てる、と思っていた。だが、チームの誰かがパスをミスしてしまった、そのミスから勢いを失い私達のチームは凡ミスを連発し、最終的には負けてしまった。「あぁ、負けてしまった。」私はそう思った、私は今までと変わらず残念がる事もせず、その日の大会が終わったあとは黙々と返す準備をしてバスに乗り込んだ。バスが発車して、しばらくしてから誰かの嗚咽が聞こえてきた。2年の先輩が悔しそうに歯を食いしばりながら泣いていた。それを皮切りに数人が泣き始めてしまった、誰かの慰める声と嗚咽を聞きながら私は窓の外を見ていた。(今日の試合、シュートミスっちゃったなー、)そんなことを考えていると学校に着いていた。バスから降り、体育館の前に並んで目を真っ赤に晴らした部長が帰りの号令をすると皆散るように帰っていく。私は家が遠いので1人で自転車を押しながら帰った、頭には今日の試合のことしか無かった。(ボール、もう少し上手くシュート出来てたら勝ってたのにな、)気づいたら地面が濡れていた、低く飛ぶツバメを尻目に私は折りたたみ傘を差しながら自転車をノロノロと押した。(今日の天気予報降水りつ30パーセントだったけど傘もっててよかった)「傘、差すの遅かったかな、」目頭の熱を押し込めるようにに目元を濡らした雨をジャージの袖で乱暴に拭った。私はさっきよりも重く感じるリュックを背負い直し、熱いままの目頭を何度も拭いながら人気の無い道を俯きながら帰った。

6/1/2025, 6:22:05 AM