数日間降り続いた雨が止み、久しぶりの晴れ間が見えた。うさぎのフワリは外に出る飛び出した。雨の前に外に出た時に比べて、外の空気が冷たくなっている。顔をなでる秋風に誘われて、フワリは森に飛び出していく。
大きなくぬぎの木の下でリスのお母さんが忙しなく働いている。
「リスさん、こんにちは。お忙しそうですね」
「あら、フワリ。冬が来る前にどんぐりをたくさん集めているのさ」
「どうしてどんぐりを集めているの?」
「冬になったら、美味しいどんぐりクッキーをたくさん焼くのよ。フワリも食べにいらっしゃい」とリスのお母さん。
「ありがとうございます!」
元気にお礼を言って駆け出した。
野葡萄の茂みの中でクマの子たちのはしゃぎ声が聞こえてくる。茂みに潜り込みクマの子たちに挨拶する。
「やあ、フワリ。きみも野葡萄を食べにきたの?」クマの子たちは口いっぱいに頬張りながらフワリに話しかける。
「ずいぶんたくさん食べるのね」とフワリ。
「僕たち冬の間はずつたお家の中で過ごすから」「冬になったら、母さんが毎日おもしろいお話を聞かせてくれるよ。フワリも遊びにおいでよ」とクマの子たち。
「ありがとう、フワリはそう言ってまた駆け出す。
森を抜け、野原に出る。空を見上げるとツバメの親子が飛んでいる。
「一緒に遊ぼう」とフワリはツバメに呼びかける。
「僕たち、冬になったら南の国に行かなきゃいけないんだ」
「フワリ、また来年遊ぼうね」とツバメたち。
「うん、また来年。気をつけてね」
そう言ってフワリはツバメたちを見送った。
「あれ?フワリ?」
不思議そうな顔をして声をかけてきたのはキツネのフウタだ。
「フウタ、ふわふわになったね」
いつもと違うフウタに首を傾げながらフワリは言った。
「フワリも白くなったね」とフウタが笑いながら言う。
フワリは自分の身体を見回す。薄茶色だった夏毛はすっかり真っ白な冬毛に生え替わっていた。
「冬になっても、一緒に遊ぼうね」
フワリとフウタは楽しそうに一緒に駆け出した。
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お題:冬になったら
11/18/2024, 7:40:58 AM