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どこまでも高い蒼空に、入道雲が浮かんでいる。助手席の、少し開いた窓からは、ジリジリと蝉の声が聞こえる。今朝ドライブスルーで購入したシトラスティーの氷はとっくに溶けて、緑の人魚のロゴマークからは大粒の水滴が滴る。
「あっつい……」呟くと、隣から「夏だね」と返ってくる。溶けかけのナッツボンを口元に持っていくと、あんぐり口をあけて、「ん、溶けてる」と口を尖らせた。ややしばらくして、「美味い」とつぶやくのが聞こえる。
1車線の直線道路はやがて2車線に変わり、広告が並ぶ道に、歩行者がちらほら見え始める。
運転席から手が伸びて「もうすぐ着くよ」と青い看板を指さした。

【街へ】

1/29/2023, 10:11:35 AM