同情されているのかなあ。
机の上に置かれた見知らぬ消しゴム。誰が置いたのかは分からないけど、それなりに綺麗で、どうやら悪意から置かれたものではないと分かる。
手に取ってみる。恐る恐る紙のカバーをずらしてみる。真っ白だ。何も書かれていない。呪いの言葉も、切り刻んだ跡もない。
誰かが間違えて置いたのかも。そしたら可哀想だ。私の机はいくら拭いても不潔らしい。机だけでなくて、持ち物も、私自身も。
だから社会科見学の時、私の消しゴムを誰も拾ってくれなかった。代わりに蹴飛ばされて下水処理場の水槽に落とされた。四葉のクローバーが描かれた、お気に入りの。
誰かが私の机に置いた消しゴム。ひっくり返してみると、サインペンで描かれた小さな落書き。不恰好な四葉のクローバー。
同情されているのかなあ。
申し訳ない気持ちになった。
私は大丈夫だよ。いつも通りだよ。だから心配しないで。
【お題:同情】
2/21/2024, 7:47:03 AM