のぞみ

Open App

うまくいかなくたっていい

「上手くいかなくたっていいんだ。
辛く苦しい思いをしてもここに学校という息苦しい小さい箱のような場所に来れたんだ。
それだけで十分だ。
もう頑張らなくていい。」
先生はそう言った。
頑張らなくていいと。十分だと。
こんなこと言われたのは初めてだった。
「頑張ら、なくていい・・・・・?」
「そうだ。もう十分頑張ったんだろ?
ならもういいんだ。
これから先、学校で辛いことがあるかもしれない。
ありのままのお前でいいんだ。ありのままのお前だからいいんだ。
きつい時は逃げ出してもいい。
自分が壊れてしまうのならもう逃げ出してしまえ。
誰が何と言おうとお前はお前だ。花岡 りよ だ。
自分が思うままに動け。」
先生はそう言ってくれた。
その言葉に涙した私はその言葉をずっと聞きたかったんだと、言って欲しかったんだと心が叫んでいた。
私は自分自身を求めてくれる人、自分を認めてくれてありのままでいいって言ってくれる人を探し求めていた。
頑張らないと認めてもらえない。
本当の自分ではダメだと、
必死に私じゃない私を演じてきた。
だけど、今日私は先生の言葉に救われた。
だからもう大丈夫だ。
恐れない。
人と接することを恐れない。
私はありのままでいいんだ。
「ありがとう先生。私、頑張る。
先生は自分が壊れるぐらいなら逃げ出してもいいってそう言ったけどもう逃げない。逃げるのはやめる。」

私をどうしようもない暗くて狭い場所から連れ出してくれた、救ってくれた先生に微笑んで言った。


これから変わることが私なりに頑張ることが先生への感謝の気持ちを伝える最大限の方法だと思った。


                      完

8/9/2023, 10:30:11 AM