この鏡は人の欲を映すという。
オカルト研究部員の私と同じく部員の彼は、とある鏡がある旧校舎の剣道道場に向かっていた。
「すごく暗いから足元気をつけて。」
『あ、うん。ありがと』
こんな気遣いのできる彼が私は好きだ。
剣道道場に到着した。独特な防具の匂いが残っている。
『あっ、!私、先に鏡見てみるよ!』
「え、ほんと?じゃあ、次僕ね!」
そうして私は鏡を見た。
彼とキスしてる私が映った。
私は思わずしゃがみこんでしまった。
『ねぇ、今の鏡に映ったやつ見てない?』
「え?うん、なんも見てないよ?」
私が一安心した様子を不思議に思ったのか、私に何回も問いかける。
「え!!もしかしてなんかうつったの?!!」
「えー待って!予想したい。うーん?あっ!もしかして好きな人とか?」
みるみる赤面していく私を面白がっているのか、彼はクラスの男子の名前を言い出した。
『ちょ、!そんなのいいから。早く終わらせて帰ろ!!』
『さっさと、ほら!』
そういった私に彼は口を膨らましてぶーぶーいってくる。
ようやく彼は鏡の前に立つ。
『ねぇ、なんか見えた?』
「……ううん。なんも。」
そう笑いながら言った彼だか、私は知っている。
この笑顔は偽物だって。
深く掘るのは危険と察知したので、私たちはすぐに解散した。
はずだった。
ただいま緊急ニュースです。○○高校近くの歩道橋で、女子生徒と見られる死体が発見されました。犯人と見られるのは、○○高校の男子生徒。現在も刃物を持ち逃走中です。
解散した後すぐに流れた緊急ニュース。
犯人は彼で、死体は私。
8/18/2024, 5:37:28 PM