ホラーベル

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あの子が今日、ここよりもずっと遠い場所に引っ越すらしい。

あの子とは昔から仲が良かった幼馴染の事だ。

僕はずっと彼女が好きだった。

せめてそばに居られれば…と思って恋心を伝えずにいようとしていた矢先のことだった。

はなればなれになるだなんてそんなの嫌だ。

胸が引き裂かれそうになった。

別れ際、最後に言葉を掛けようとしたけれど、自然と涙腺が緩んで涙が出てきてしまった。

何か、伝えなければ。

"今までありがとう"とか"またね"とか短い言葉でも良いからと口を開こうにも言葉に詰まる。

追い討ちを掛けるように嗚咽が邪魔をする。

その時、彼女が口を開いた。

"今までありがとね。また会おう!"

僕は何度も頷いて、ようやく嗚咽混じりに声を出した。

"また、会おうっ"

彼女も元気よく頷き、そのまま手を振って両親が乗っている車に向かっていった。

暫くすると車が走り出す。

僕はその車が見えなくなるまで手を大きく振って見送った。





11/17/2022, 6:45:07 AM