〜一筋の光〜
コードが垂れる研究室の廊下を走り回る
逃げろ逃げろと頭の中で思考をフル回転させる
どんなに痛くてもどんなに疲れても出口を探せと体が訴えている
今まで受けた投薬実験・催眠実験・接合実験など何十とある実験全てを受けたからだはボロボロになっていた
痛みに耐えながら腕を抱え走る
システムエラーによりサイレンがなる
頭に響くようなその音は何度も何度も何度も僕の耳を劈く
迷路のように入り組んだ道を人と接触しないように確認して抜けていく
何度も何度も見回ってここは人通りが少ないという場所を見つけてきた
出口に近い道
見覚えのある、研究室に入ってくる前に見た道
ポタポタと垂れる赤黒い血を横目に道を照らす一筋の光を追う
やっと…やっと…!!
バンっと扉を開き……
僕は絶望した
まだ、扉は序盤でその先にいくつもの扉や道が入り組んでいる
そして先に進めば進むほどに症状の重い実験体が隔離されている
全身麻痺になっている子、精神を病んで部屋の隅に逃げている子、人とは思えないような見た目に泣き叫んでいる子、血を吐いて倒れている子
地獄だ…ここは地獄そのものでもう二度と逃げることは出来ないんだろう
きっとあの日見た光は希望への扉ではなく
この後待つ地獄のような実験への扉だったんだろう
11/6/2022, 11:52:58 AM