粥井

Open App

「…どうすればいい?」


血を流して目の前に横たわる男は君の婚約者。
修羅場の揉み合いの末の…というわけだ。

「ひとまず救急車だ!早く!」
『死んでる…?息してないよ…』
「じゃあ警察か?とにかく早く!」
『警察が来たら何て言えばいいの!?私やってないからね』
「俺がやったっていうから」
『それも嫌!私たちの関係がバレたらどうすんのよ』

そうか。この女が考えているのは保身だけ。
どうせ俺のこともそのうち飽きるに違いない。

頭に登っていた血も、胸の奥もサーっと冷める感覚がした。

捨てるならいっそ、利用してから。

「お前の親父が持ってる山、立ち入り禁止のところあったよな」
『え?まさか…』
「俺はこいつを殺したことを隠したい、お前は俺が家にいたことを隠したい」

「なら共通する解決策は、これだ」

こいつ自体を隠す。

さあ、自分を守りたい君はどうでるかな。
俺に協力するか、全てを捨てる覚悟を決めるか。


『…どうすればいいの?』

11/22/2023, 9:40:10 AM