佐目毛

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森に続く小径を、私は歩いていた。心地よい風が拭き、綿のロングスカートの裾をはためかす。
樹々には木漏れ日が差し、夏の小鳥達が囀る。遠くで、郵便自転車のベルが鳴る音が聞こえる。あの鞄の中にロバートからの手紙はあるかしら。
歩いていくうちに、森は深くなり、暗くなっていく。にわかに強い風が吹き麦わら帽子を持っていこうとする。「もう」私は帽子の両の縁を掴んで飛ばされないようにした。
徐ろに顔を上げると、そこは一面にヒースが咲き、その周りを何千何万という見たこともない数の小さく白いモンシロチョウが飛んでいた。

5/10/2023, 11:26:02 AM