しずく

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死にたい。世界中の人間がいなくなればいい。
少年が口走ると、同時に堕ちてきたのは神だった。
「私が折角生み出してやった命───」
粗末にするでない。それは少年の耳に届いたのか。
黒で塗り潰された少年の瞳にはどう写ったのだろうか。

「はっ。生み出してやっただ?…笑わせんな。
   ────これでもう人間が生み出されることはないな」

自宅での自殺を実行する直前だった少年は生まれて初めて満たされる、という感情を知った。
神がいなくなった世界は闇へと滑り落ちていく。

少年はすでに真っ赤にまみれた包丁を躊躇いなく自分の胸に突き立てた。
どちらにせよこれからの未来、人間が作り出されることはないだろう。



─神様が舞い降りてきて、こう言った。─ #15

7/27/2024, 11:42:43 AM