気がついた時には得体の知れない化け物に身体の自由を奪われていた。
化け物は全身に包帯を巻き付け、腐りゆく身体を何とか保っているようだ。
俺は一糸まとわぬ姿にされ、嫌という程蹂躙される。
怖い、逃げ出したい、助けてくれ。
湧き出る嫌悪感、恐怖とは裏腹に心は存外凪いでいるのは何故だろう。
ぽたり、化け物が涙を零す。
本来なら汚らわしいと思っても良いはずなのに自然と俺は化け物の頬にそっと手を触れていた。
「……泣くなよ、」
「うう……」
胸の奥がぎゅっと締め付けられる。何故だ。分からない、何も、思い出せない。
それでも俺はこの化け物の涙をこれ以上見たくは無い。
11/21/2024, 10:08:10 PM