かたいなか

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無人島に行くなら、ひとまずキャンプ道具を一式と、それから食材にポータブル保冷庫等々、
ともかく抜かり無く、持っていきたい物書きです。
今回は不思議な稲荷子狐が、無人島モドキへ遊びに行くおはなしをご用意しました。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
滅んだ世界からこぼれ落ちたチートアイテムを回収して、適切な方法で収蔵したり、活用したり。
それから、世界と世界を繋ぐ航路の敷設と運営なんかもしている大きい組織なのでした。

この管理局が収蔵するアイテムには、とっても大きな機械も多数収蔵されておりまして、
その中に、いろんな空間を生成して保存しておける、夢のようなチートマシンもありました。
その名も「保存空間生成装置」。
世界線管理局員は、事前に申請書類を書いて提出して、それが空間管理課の審査に通れば、
2年ごとの更新制で、自分だけの空間を持つことが、できるのでした。

ところでそんな便利な保存空間は、
3年に一度、契約更新されずに放ったらかされた空間を、削除したり他の局員に譲渡したりと、
一斉に大規模整理するウィークがありまして。
今回、お題回収役の稲荷子狐は、この大規模整理ウィークのイベントに、招待されたのでした。

というのも子狐と仲の良い局員が、無人島同然の保存空間を見事に競り落としたそうで。
一緒にキャンプをしようとのお誘いなのです。

コンコン子狐、尻尾をブンブンびたびた振り回し、
お仲間局員、ドワーフホトとの待ち合わせ場所へ。
ドワーフホトに縫ってもらったクロネコリュックに、稲荷寿司やおにぎり、おもち、それからお揚げさんもたんと詰めて、
ドワーフホトとの待ち合わせ場所へ、とててて、ちててて!文字通り跳んでゆきました。

「むじんと!むじんと!」
無人島に行くならば、美味しいごはんに美味しいおかず、美味しいおやつも持ちましょう。
「むじんと!むじんと!」
無人島に行くならば、美味しいお水と美味しいお茶っ葉で、美味しいお茶も淹れましょう。

「コンちゃぁん!待ってたよー!」
保存空間を管理している大きな部屋で、ドワーフホトが親友のスフィンクスと一緒に、
先に来て、子狐のことを待っておりました。

「無人島!早く無人島行こうぜ、ホト!」
無人島に行くならば、仲の良い友達と仲の良い友達の友達も、連れてゆきましょう。
「待って待ってぇ、スフィちゃん、白ヤギさんと黒ヤギさんの手続き、もちょっとかかるぅ」
無人島に行くならば、楽しい気持ちと楽しい思い出も、持っていきましょう。

「メ、ドワーフホトさん、譲渡手続きが完了しましたですメ。今日からこちらの保存空間は、ドワーフホトさん所有の保存空間となりますメ」
コンコン子狐が自分のリュックを、スフィンクスに見せびらかしておると、
黒いヤギ獣人の管理局員、通称黒ヤギさん(もしくは✕の方)が、書類一式持って、やってきました。

「Oh!ホトサーン、さっそくご友人と無人島パーリデースカ?楽しんできてクーダサァィ」
コンコン子狐が白ヤギさんの、手の匂いをくんくんペロペロしておると、
白いヤギ獣人の管理局員、通称白ヤギさん(もしくはOの方)も、鍵ひとつ持って、やってきました。

彼等こそいわゆる◯✕コンビ、白黒コンビ。
空間管理局の保存空間生成装置の責任者でした。

「よぉし!行こう!」
白ヤギさんから鍵を受け取って、さっそく子狐とドワーフホトと、それからスフィンクスは無人島へ。
ただ、無人島は無人島でも、ちゃんと植物は育っておっても、魚や果物は無かったので、
自分たちで持ち込んだ食材でもって、パーティーを楽しんだとさ。

10/24/2025, 9:59:18 AM