ひのね

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#愛情

私は昔から他人に興味を持つことが出来ないタチであった。なので恋人と言葉を交わしている最中、ふとした瞬間に興ざめする。"愛している"などといった歯の浮くような表現には軽蔑の念さえ感じる程である。
このように、私は実際に行う行為と自分の心情との乖離が凄まじい。そのような状態で、何故恋人と関係を続けているのか。

……。
とどのつまりは、私は恋する自分に酔いしれているのであった。人間らしい営みに憧れ、その体裁を上手に取り繕っている自分が誇らしくて堪らないのである。 なんと浅ましいのだろう。
しかし、しかし一言だけ言わせて欲しい。
これこそが人間らしさであり"愛情"では無いのかと。漫画に出てくるような純粋無垢で合理的な恋などはこの世に一切存在しない。あれはただの世間知らずの坊ちゃん達の物語であり、平々凡々な日々を送る私たちとは似ても似つかない、別次元の話である。
だからこそ、こういった我欲 故の行為は非常に非合理的だが、愛おしい。黒に染まりきらないその自己中心的かつ曖昧な"汚らしさ"を堪能することこそが、恋愛における醍醐味だと感じるのは私だけだろうか。

11/27/2022, 6:13:03 PM