「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。私は誰かに膝枕され、縁側から雨の庭を眺めている。何だか憂鬱な気分でぼそりぼそりと愚痴を言っていると、頭を撫でられた。共感も理解を示す言葉もなく、ただ私の頭を撫でているだけ。それだけでも何だか気分が晴れてくるような気がして、私は誰かにお礼を言った。
「お礼なんかいいよ、当然のことだから」
私を膝枕しているのは男性らしい。だから、ちょっと膝枕が硬かったのか。それにしても、愚痴を聞くのが当然なんて。人の愚痴なんか面白くもないだろうに。
「当然って…」
「愚痴るなんて、生きてたらよくあることだよ。キミに取り柄がなくてもいいし、情けない部分があっても僕は好ましいと思うんだ」
彼は優しく諭すように話し、私の髪を手櫛で梳かす。随分、私に対して甘い人だ。全く心当たりがなくて、少し申し訳ない気がした。
「どうして、そこまで…」
「キミはやっぱり忘れてるみたいだけど、僕にとって特別な存在だから」
私は彼を知っている気がする。顔を見ようと身動ぎした途端、視界が手で覆われた。
「ちゃんと思い出してくれるまでは駄目だよ」
真っ暗な視界の向こうで、彼はいたずらっぽく笑った。

3/24/2026, 9:33:36 AM