狐コンコン(フィクション小説)

Open App

14

いつからか、音楽プレイヤーが手放せなくなりました。

小さい頃から音楽が純粋に好きで、様々な曲を聴いては親に感想を伝えるのが常でした。

わからないんです。いつから、手放せなくなったんでしょうか。

ずっと、音楽への愛は変わっていないんです。愛しています。音楽がいない世界はとてもくだらないとさえ思えます。

なのに、あの頃のように適切な音量で、適切な時間で、適切な楽しみ方が出来ないんです。

イヤホンをつけたあと、音が外へ逃げ出すような、鼓膜を震えさせるような音量に設定します。外へ出ている時、イヤホンを外す事は滅多にありません。流れる音楽なんて、テンポが早ければどれも同じように感じます。

おかしいんです。音楽が無ければ生きていけないのに、音楽を純粋に愛することができないんです。

愛しているのに、愛せないんです。

おかしいです、おかしいんです。どうしてこうなったんでしょうか。いつから音楽が手放せなくなったんでしょうか。

イヤホンの隙間から聞こえてくる車の音や雑踏が怖くなったのはいつからだったんでしょうか。
誰か教えてください、教えてください。




昔は、純粋に音楽を愛していたんです。

6/12/2025, 6:56:04 PM