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ゴミ収集車が、外でゴミを回収している。
わたしはそれを聞きながら、そっと息を吐いた。今日燃えるゴミに出したあのひとへの手紙は、もう無事に持っていかれたのだろうか。
ラジオの中では昭和の名曲が流れていて、外は車の行き来と風の音。静かだと思っていた夜は、起きてみれば存外に騒々しい。
ようやく決心がついた。ペンを動かす。
幸せそうな結婚式への招待状。出席へ丸をつける。
大好きだったあなたの顔は、見たことないくらいに可愛らしく笑っていて。ああ、純白のウェディングドレスがよく似合う。
枯れたと思った涙が、また溢れ出した。

5/17/2023, 10:17:14 AM