光と霧の間で
飄々とした青空のもとでお前は生きていた。
他ならぬ俺がそうした。
お前に霧は似合わない。
晴天こそが素晴らしい。
俺を霧に置いていくのが良い。
お前は殊更輝けることだろう。
しかしお前はそれを良しとしなかった。
あろうことか俺のような木偶の坊に救いを与えたのだ。
だから、あのような死に方をしたのだ。
愚か者。このような醜男にばかりかまけているから。
お前の文才があれば何でもできたろうに。
やさしいひだまりから鬱屈とした霧の中などに入るから。
温かい心は冷え切り凍って、溶け切る前に砕けてしまった。
お前はもういない。
俺に温かさを教えたお前はもういない。
なんてことを。
お前の墓の前で俺は恨み言ばかりを垂れる。
感謝してもしきれないのに、目先の不幸にとらわれる。
幻覚のお前がいる。
愚か者のお前がいる。
俺の詩は呪いのようだとお前は言う。
お前が呪いにした。呪いにしたお前がそれを言うのか。
お前はそれもそうだと納得してしまう。
優しいお前が次に何を言うか俺は予想がついてしまったので、
先に謝ってくれるなよと吐き捨てた。
惨めになるのはごめんだと。
お前はまたそれもそうだと納得した。
惨めだなんて、最初からそうだというのに。
俺がお前をひだまりにそそのかしたあの時からずっと。
いつかのお前が蘇る。
お前は何か言って笑っている。
目の前の幻覚も笑っている。
触れようとした手は空をかき、お前の墓に触れる。
ひだまりの熱であたたかい。
お前はもういない。
冷え切った俺だけが残されている。
ああ、なんて惨いことを。
お前だけが温かかったのに。
10/18/2025, 5:13:38 PM