自転車に乗って、目下の坂道を駆け降りていく。まだ夜明け前の空に目をやると、ぱちぱちと燃える明星が藍に光を差していた。星の輝きに目を奪われながら、私もあんな風に命を燃やせたなら、と思いを馳せる。自分は大した存在ではないし何もできることはない。それでもこの命は呼吸をしているから、綺麗に燃えているのだろうか。前を向いてハンドルを強く握る。風を切って下りていく中、ただ車輪をカラカラ鳴らしていた。自転車に乗って.
8/14/2022, 3:01:17 PM