猛暑の中で
猛吹雪の中で
風に吹かれて
雨に打たれて
そうして咲いた一輪の花。
美しい透明で数が少なく、
昔は月と太陽を繋ぐ花なんて言われていた。
あんまり綺麗なので
学者たちが研究するために
街中、村中、森中に咲いてるこの花を
摘んでしまった。
増殖のために根こそぎ持っていったのに、
研究は失敗。
顕微鏡で見るために
プレパラートに乗せただけで崩れてしまった。
繊細で脆く扱いずらい花だった。
こうして世界から透明の花はなくなった。
ように思われた。
森の奥にある滝のさらに奥。
洞窟を抜けると
そこには草原が広がっていて、
少し遠くに一件の家があった。
ショールを身につけた少女は
家を出て
紫陽花や薔薇、
そしてあの透明の花が沢山咲いた
秘密の花畑へ水やりに行った。
学者がどんなに頑張ってもなし得なかった
透明な花の増殖を
少女は当たり前のようにしていた。
ここは昼は綿あめのような雲、
夜は星屑が空に広がっている
楽園のようなところだった。
"Good Midnight!"
少女は言う。
厳しい環境で育ってきたんだから、
敬意を払っていい環境を用意をして
愛情と水を注ぐのは当たり前でしょ?
2/24/2025, 10:49:30 AM