私は、彼のことが好きだ。優しくて、かっこよくて…それだけではなく、一途に私のことを愛してくれる。愛情表現も彼の方からしてくれるし、豊富な語彙で私のことを褒めてくれる。いつも与えられてばかりだから、私も彼に愛を与えたい。
でも、いざ言葉にしようとすると、頭が真っ白になって、声が出ない。なら態度で示そうとしても、恥ずかしくなって躊躇してしまう。結局、それを察した彼の方から私に愛を囁いて、抱きしめてくれる。そうだけど、そうじゃない…と、私は歯がゆい気持ちになるのだった。
ある日、私が彼の部屋に入ると、彼は本を読んでいた。あまりにも熱中しているのか、こちらに気づいている様子はない。今がチャンスだ、と思い、私は彼の名前を呼びながら駆け寄る。
「おや、どうしたのですかっ…!?」
「…大好き」
彼がこちらに気づいて振り返ると同時にギュッと抱きつく。その勢いで私は言いたかった言葉を伝えた。驚いた様子を見せた彼はすぐに優しく微笑んで、私の頭を撫でた。
「ようやく、貴方から言ってくれましたね…」
そう言って、彼は私を優しく抱きしめ返す。そして耳元に顔を近づけ、優しく落ち着いた声で囁いた。
「俺も大好きです。ずっと愛していますから」
テーマ「愛を叫ぶ。」
5/11/2024, 11:12:30 AM