一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→ゴミ。
 
「捨てちまえよ、そんなもん」

自分の中の呆れた声。

夢を諦める線引きを見誤って、途方もない遠くまで来ちまって、いまさら引き返せやしない。

昔は新鮮で輝いていた。そのうち生ゴミになって腐って、今じゃスッカラカンの粗大ゴミだ。
もはや腐敗はしないが、場所は取るし重量もある。

心にも許容範囲はある。ゴミが散らかったままでは塩梅が良くない。
だから心の声は囁くんだ。
「捨てちまえよ、そんなもん」

そうだな、そうして心の断捨離ができりゃ、夢を思い出に酒の肴にできるかもな。熟成年度だけはハンパねぇから、スルメ並に噛みしめられるんじゃないかな。

そんな新しい第一歩を踏み出してぇなぁ。
でも、できないんだよ。

ゴミになった夢でも、日によっては眩しくってさ。手を伸ばそうとしちまうんだよ。
愚か者だよなぁ。
笑えねぇや。

テーマ; 叶わぬ夢

3/18/2025, 2:51:57 AM