一ノ瀬

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「君に魔法をかけてあげよう。12時には解けるから気をつけて」
「僕が灰かぶりなんですか? 先輩じゃなくて?」
「私は魔法使いだからね」
 先輩がにんまりと笑った。そうやって笑う先輩はチェシャ猫みたいだといつも思う。
「何でも出してあげるよ。美しいドレスも、かぼちゃの馬車も、ガラスの靴も。君が望むものは何でもね」
「うーん、じゃあこの間配信が始まった映画と暖かい部屋が欲しいです」
「なるほど、用意しよう」
「おいしいお菓子と飲み物は僕が用意しますね」
「いつにする?」
「明日とか」
「いいよー」
 簡単に了承をくれる先輩を見ながら、僕は先輩が隣にいてくれるならそれ以外はいらないな、と思う。12時に解けてしまっては困るから、先輩には頼まないけど。

1/27/2026, 2:12:21 AM