ひと

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ココロオドル



中学生の頃、突然私の心を躍らせたのは「本」という存在だった。

本はすごい。私の浅く狭い知識と視野をどんどん広げてくれた。
自室のベッド、リビングのソファー、教室の席、見た慣れた景色の中でも、ひとたびページを捲れば、もうそこは知らない世界。
本の中では、なんだって出来るのだ。ある時は中世ヨーロッパの公爵令嬢、またある時には世界を救うスーパーヒーロー、なんだってなれる。
その頃の私の心をこんなに躍らせるのは、本以外他に無かった。
新刊が出てないだろうかと、毎日本屋や図書館へ通う事が何よりも楽しかった。

それは今でも変わらない。
私は相変わらずページを捲っている。
あの頃みたいに毎日では無いが、やはり本屋に通っている。
電子も便利だが、あの紙独特の匂いと、指を滑る音、手に乗っかる重さがたまらなく好きなのだ。

私の心を躍らせるものは、あの頃より増えたけど、それでも一番真ん中には「本」がいる。

                      END.

10/9/2024, 2:56:37 PM