机の上に
甘い蜜柑がいくつか乗っていた
それは確かに甘かったが
同時に酸味を感じた
橙の皮の中にある
橙の実は
柔らかい食感で
甘味であり酸味もあった
この丸い球体が
もはや日本の冬になくてはならない
果実になっていたことに
最近気づいた
気がつけば冬にその果実を食い
年を越すことが
毎年欠かさぬ行為になっていた
気がつけばそうなっていたので
何時からそうなっていたのか
全くわからない
そのせいなのかもしれぬが
蜜柑を食うことにより
一年が終わる
悲しさと
寂しさを感じるようになった
これも毎年年末に
蜜柑を食うようになったせいだろう
だがその悲しさと寂しさを含む甘露と酸は
毎年私を救う味となった
これも気づけばそうなっていた
具体的にどうなるとか
そういうことは分からないが
その実を味わうときに
私は何故か
救われる気分になるのだ
机の上のいくつかの蜜柑
私はそれを黙って食う
そして黙って
年を越すのだ
12/29/2024, 12:58:12 PM