Frieden

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「それでいい」

今日は休日。自称マッドサイエンティスト特製の昼飯「親子丼の唐揚げ」を食べたせいか眠い。久しぶりに昼寝でもするかな。
ベッドの上でボーっとしていると、突然あいつが部屋に飛び込んできた。

「おい!!!キミ!!!あ、昼寝中悪いね!!!」

「第217宇宙……えーっとこの星が本来存在しているべき宇宙、とでもいうべきかな!!!とにかく貴重なデータを取得できたぞ!!!昼寝なんかしている場合じゃない!!!」

突然驚かすな!心臓に悪すぎる!

「この宇宙を吸収する未知の存在、ヤツの目的がわかったかもしれん!!!」

よりにもよってこんな眠い時に……。
まあいい。とにかく話を聞こう。

「こほん。では改めて!!!今回取得できたのはヤツの『感情』に関するデータだ!!!これ、キミに見せても分からんだろうが、いちおうキミの国の言葉に翻訳しておいたよ!!!」

「取れたデータをキミにでも分かるように図式化したが、どう思う?」

愛、そして少しの悲しみと怒り。

「ほぼ純度100%の『愛』でできている。そうだろう?」

「この宇宙は少なくとも712兆年くらいの間、ボク以外管理していない。だからこの宇宙を相当愛している、なんてことはおそらくありえないだろう!!!しかも、吸収されるようになったのは最近になってからだ!!!」

「ということは、なんらかの方法でヤツはこの宇宙に侵入し、そこで何かを見つけたんだろう!!!そしてその存在に対して『愛』を抱いた!!!」

「だが、なんらかの理由でそれを失った!!!というわけで宇宙ごと吸収してしまおうと考えた!!!んじゃなかろうか?!!」

規模が大きすぎて理解が追いつかない。

だが、宇宙ごと吸収するなんて正気の沙汰ではない。
その感情は「愛」と呼ぶべきものなのか?

そんな自分勝手な感情。
ひとびとはそれを「執着」と呼ぶ。

「なるほど、執着か……。」

「理解が追いつかないと思いながらも真剣に考えてくれてボクは嬉しいよ!!!消極的だったキミも悪かないがそういうキミもいいね!!!ボクはそれでいいと思うよ!!!いや、正しくは『それがいい』だね!!!」

それがいい、か。

「ほら!!!もっと読み解けるものがないか、ボクと考えよう……おっと!!!もうこんな時間だぞ!!!今日のディナーは何にしようか?!!」

そうだな……。この前食べたコーンスープ鍋でいいか。

「おいおい!!!そこは『コーンスープ鍋がいい』と言いたまえよ!!!ほら、鍋を用意するんだ!!!」

はいはい。
今日も美味いものが食べられそうで嬉しい。

「そうかい!!!喜んでもらえて何よりだよ!!!」

4/5/2024, 4:00:49 AM