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「この花が好き」
そう云ったのは誰だっただろうか。母親だったか、それとも隣に住んでいた幼馴染だっただろうか、はたまたクラスが一緒だった影の薄い同級生だったか。小さな花弁が北風に吹かれて、今にも散ってしまいそうなか弱い見た目をしているが、以外にも図太いらしく花弁一つ土の上には落ちていない。耐寒性に優れた花ではあるが、花期は春頃だったように記憶している。
めずらしい。
しげしげと眺めて、はて、どうしてそんなことを知っているのかと不思議に思う。園芸に興味はないし、花に関心があるわけでもない。なのに、なぜ。
「花言葉って知ってる?」
ああ、そうだ。誰かがこの花を育てていたのだ。しかし、それが誰だったのか思い出せない。致命的だ。姿も、声も、覚えていない。だというのにこの花に感する記憶だけは一丁前に覚えている。

勿忘草、花言葉

調べてみるとすぐに検索結果が出てきた。あっ、

2/2/2024, 3:25:57 PM