「兄さん、私二十歳になったよ」
帰省してきたばかりの彼の部屋に突撃すると、私はふふんと誇らしげに胸を張ってみせた。
やっと大人になったはずなのに、不安も期待も、何もかもがまだ手探りで――心が落ち着かない。
そのことを悟られないように、わざと明るく振る舞う。
「おめでとう。これでお前も、選ぶ自由が増えたな」
彼はそう言って笑い、いつものように私の頭をわしゃわしゃとかき混ぜる。
その右手のぬくもりに、胸の奥が少しだけざわめいた。
強くなることも、迷うことも、全部許された年齢。
これは始まり――
私たちの関係も、ここから静かに、でも確かに深くなっていくのだと、期待を胸に。
【20歳】
1/10/2026, 2:49:18 PM