ちりあくた

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秋を告げる乾いた風は、
網戸越しに飾られた私を揺らした。

水があったほうが風流だ。

そう言って花瓶を濡らす主人は、もういない。
乾ききった瓶の底。
見られるために産まれた私は、
見るもの無くても残りつづける。

決して枯れることのない花。
光も水も愛情も要らずに咲く花。
景観に取り残された私が、
もし自由に変われたら。

大きく咲き誇る少しの時間も、
枯れていく長い時間も、
美しい一画にあれたのだろうか。

                     『窓から見える景色』

9/25/2023, 12:10:51 PM