『絆』 3月6日
「絆ってどんな形をしているの?」
コンビニのアイスを片手に君が問う。
太陽ばかりが自分勝手に輝いて、僕達を陰に溶かす。オレンジ色の街に二人。一日が終わろうとしているのに、まだシャツはじっとりとくっついて鬱陶しい。
僕に言ったわけではなさそうなその言葉に小さくさぁ、と返す。君は聞いていない。
「俺らの絆は変な形してんだろうな」
君がそう笑った。
いとも簡単に、不明瞭な“絆”というものが僕らの間にあることを言い切ってしまう君の横顔が照れくさかった。
3/6/2024, 10:43:06 PM