『冬の温もり』
「冬になったら何したい?」
秋の暖かさも終わりを告げ、ひんやりとした風が吹く帰り道で、幼馴染の彼女は唐突にそう聴いてきた。
「うーん......スキー行ったり、炬燵に入ってミカン食べたりとか?」
「おぉー、いいねそれ! ミカンもいいけど、私は雪見だいふくがいいなぁ」
少し悩んでありきなりな答えを返すと、彼女は目を輝かせながら食い付いてくる。そんな彼女にじゃあお前は何がしたいの?と尋ねれば、やはり少し悩んだ後に内緒! と口元に人差し指を当てながら言われてしまった。
「ところで冬っていつからが冬になるんだろうね」
しばらくそのまま歩いていると、ふと彼女はそう言う。立冬を過ぎれば、或いは12月からだろう、などと色々と二人で軽い議論を交わしながら歩みを進めた。
くだらない会話で脱線もしつつ、最終的には寒さを感じたら僕たち的にはもう冬なんじゃないか、という結論が出てからしばらくすると、いきなり彼女は僕の手を取った。
「じゃあやりたかったこと今やっちゃお!」
そう言ってえへへと照れ笑いを浮かべ、彼女はぎゅっと腕に抱きついてきた。僕の冷たい指先はほんのりと暖かさを帯びて、身体は吹きつける風も忘れるほどに熱くなっていた。
──お題:冬になったら──
11/17/2024, 4:00:54 PM