「2度目の母体」
「なんだよこれ....!」
俺は恐怖で体が震えるのを必死に抑えながら息を呑んだ。俺の目の前には3メートルほどある白い女の石像が仰向けに寝転がっていた。
手錠がかかった手をがっちり掴んでいる警官が早く歩けと冷たく言い放つ。
女の石像は裸で陰部のところには穴が空いている。その穴には棒が縦と横に何本か重なるようにはめられていた。
もう一人の警官が俺を無理やり石像の方に腕を引っ張る。俺は抵抗する暇もなく女の石像の隣に立った。なぜだか凄く嫌な予感がする。
「入れ」
警官は確かにそう言った。女の腹付近に成人した男がギリ入れるくらいの小さい扉が取り付けられていた。
「おい、なんだこれ。死刑じゃねぇのかよ」
警官は俺を何も言わず力づくでそれを取り押えた。
「離せや!」
別の警官が焦りながらモタモタとその扉のを開けて俺はその穴に放り込まれた。
扉が勢いよく閉められ、終いには鍵までかける音が聞こえた。中は冷たくツルツルした石膏でできていて唯一の光源は先ほど外から見た柵のような棒がはめてある穴だけだ。
「おい!なんだよここ!!餓死させようってか?」
警官は相変わらず無反応を貫き通している。
俺は四方が石膏で囲まれたこの空間に何か仕掛けがないかと手探りで確認する。
その時、音が聞こえた。水の音がする。ダムの栓を開けた時のような勢いよく流れてくる水を想像した。
次の瞬間、俺の頭上から水が大量に降り注いだ。水の勢いがすごくて頭がガガガと水の言いなりになる。このまま溺死するのか?
「それは羊水だ」
外からそう声がした。激しい水の音に混じって、なぜかその声は聞き取れた。
「意味わかんねぇよ!!」
そう言いながら俺は居た堪れない焦燥感に駆られていた。このまま俺は死ぬのか。
確かディズニーのラプンツェルにもこんなシーンがあった。洞窟に閉じ込められて、水位がどんどん上がって、二人は死を覚悟していた。一人はイケメンの犯罪者、一人は魔法の髪を持つプリンセス。体験してることは同じでも状況は全く違うと感じた。
俺が焦りに焦っていると水は止まった。
安堵したのも束の間、光が差し込む方向とは逆側の壁が迫ってきた。
6/22/2025, 12:36:28 PM