《世界で1つしかない存在》
(刀剣乱舞/骨喰藤四郎)
骨喰藤四郎は焼ける前の記憶が無い。
どこで焼けたのかすらぼんやりとしていて覚えていなくて、同じく再刃された鯰尾藤四郎は前向きに明るく振る舞うが、骨喰はそうもいかなかった。
そもそも何故かつての人間は焼けた自分を再刃したのか。
「焼ける前の"骨喰藤四郎"の写しが現世にはあると言うが、ならば俺が居なくても良かったんじゃないか....?」
馬当番でふと零れた独り言に、ハッとしたがもう遅い。
共に当番の鯰尾は「うーん、そうだなぁ」と手を止めて何かを考える。
「骨喰や俺やいち兄が再刃されたのはさ?やっぱり元の主とか吉光作だからーとかあると思うよ?でもさ?
人が骨喰藤四郎を愛してたから再刃したんだと思うんだよねー」
「俺を愛してたから....」
「ここに居る刀剣男士は皆、人によって大切にされたからここにいられるんだよ」
「骨喰も俺もいち兄も、写しがいたって、世界で一つしかない存在だから再刃されたって思えるよ」
そう言って笑う鯰尾は、とうに修行を終えているせいか、前より達観していて、明るく、強く見えた。
自分も、修行を経るとそうなれるのだろうか。
骨喰はそう思いながら、これからの事を考え始めた。
9/9/2024, 10:41:57 AM