恵美

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ピアノの音が防音室に響く。

リズムよく叩かれている鍵盤と、安らぎを感じる音色は僕の心にそっと寄り添った。


ふと、君の方を覗き込んでみると、そこには真剣な眼差しがあった。



「一緒に、弾いてみる…?」

演奏が終わると、微かに紅潮している頬を僕に向けながら、躊躇いがちに君は問いかけてきた。

「…ああ」

緊張からか、一年以上弾いていなかったからか、ほんの少し震える手で弓を構えると、バイオリンとピアノの二つの音が響いた。

異なる二つの音色が響き終わると、室内は静寂に包まれる。


心地よい余韻を残したままの空間が、廃れた心を癒し、置き去りになっていたバイオリンや、音楽への情熱を思い出させてくれた。

「ありがとう…僕に、バイオリンを弾かせてくれて」

君への感謝を伝えると、柔らかな笑顔が現れる。


いつの間にか、窓からは日差しが差し込んでいた。

それはまるで、君と音楽のようでふっと、笑みが溢れる。


防音室に広がった暖かな空気は、あっという間に僕の心をこじ開けた。

窓の外からは、甲高い小鳥の鳴き声が聞こえた気がした。

#今を生きる

7/20/2025, 2:26:11 PM