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「ねえ」
「んー?」
「ススキ、風通しのいい頂とか原っぱでしか見なくなったね」
「そうだね、もうほとんどが黄色い花に侵食されちゃった」
「たしか外来種なんだっけ?」
「そうそう。名前は……セイタカアワダチソウっていうんだっけな」
「あーあ、私、ススキが風になびくときの音、すっごい好きだったんだけどなあ」
「もう家の近くで聞けないと思うと寂しいね……」
「まあお陰でこうしてあんたとドライブできるから結果オーライなんだけどさ」
「あれまあ、そんなお世辞言ったってお昼代奢るくらいしかしませんよ~?」
「いよっ、太っ腹! 素敵! 大好きだよお財布ちゃん!」
「じゃあ私の財布と結婚する?」
「ほんの冗談ですってば、ごめんよ。私が愛してるのは千代さんただ一人です」
「ほんとに?」
「ほんとだって。あんたがなにも言わずに友人とドライブに行った日のこと忘れた?」
「……………よし、それじゃなに食べたい?」
「塩ラーメン!」
「これまたド定番な。んー、近場に一軒あったはずだから、とりあえず行きましょうぜ」
「やったー!」


▶ススキ #38

11/10/2023, 10:37:07 AM