鶴づれ

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君と最後に会った日


「好きです。付き合ってくださいっ!」

 小学校の卒業式の日、一年かけて育った思いを君にぶつけた。

 君は私立の中高一貫校に行ってしまうから、地元の中学に入る私とは、もう簡単に会えなくなる。

 告白するなら、今日しかない。そう思った。

 咲きそうで咲かない、桜の木の下。君は珍しく頬を赤く染めて、柔らかく、優しく笑ってくれた。

「ありがとう。俺も好き」

 その瞬間から、世界中が虹をまとったように輝いて見えた。この先の未来はずっと明るくて、ふわふわして、きらきらしているような気がする。だって、君が私と同じ気持ちを返してくれたから。君と駅で待ち合わせて、遊園地に行く様子だって、ありありと想像できる。本当に、素敵なもので満たされていた。

 そう思ってたのに。

 君と最後に会った日が、君に告白した日だって、どうやったらあの日のうちに知ることができただろう。お互いに恋愛の仕方なんて知らなくて、連絡先も交換せずに家に帰って。デートの約束一つすらできずに終わるのが、私の恋だと。知っていたら、こんなに引きずらずに、さっさと諦められた?それとも、今と同じく、みっともなくあの日の君の言葉にすがりついた?

 明日は、小学校の同窓会。君は、私のことなんか、忘れちゃった?どうせなら、私の存在すら忘れて、君に似合うきれいな恋人でも作っていてよ。

 それでも、もし、覚えていてくれたら…。

6/26/2023, 12:48:26 PM