昨日、数ヶ月ぶりに、私「永遠の後輩」こと高葉井の職場に、「館長出没警報」が出たらしい。
私が勤めてる私立図書館の、館長は自他共に認めるヘンタイだ。なんなら自分から、「人間の魂の輝きを愛でるド変態」を公言してる。
館長が出ると、館長のおメガネに叶っちゃった人は、どこかに連行されて何かされて、
そのまま、帰ってこないってウワサ。
こんな人が館長してる私立図書館だから、私の推しゲーの原案がこの図書館で生まれて、成長して、
マルチメディア展開まで、行ったのかもしれない。
私も推しゲーの推しカプを愛でるタイプの、ヘンタイというかオタクだけど、
それでも、この館長には、確実に届かない。
だってガチのド変態だ。
館長をモデルにして作られた、私の推しゲーの中のキャラクターは、ガチで人の魂を抜き取って愛でて、それを本にして、自分専用の書庫に飾るタイプのド変態。 館長本人の公認だ。
だからこそ館長が館内巡回を始めると、館長出没警報が出て、皆みんなその館長を探し始める。
というのもこの館長モデルのキャラ、推しゲーの周年ガチャや復刻ガチャの、ガチャ回し役だから。
つまりゲン担ぎ。召喚触媒。ド変態なのに。
もうワケが分かんない(多分褒め言葉)
「届かない」といえば。
その私の推しゲー、現在日焼け止めコスメコスメとコラボして、「夏のスイーツまつり」してて。
1点約500円程度のスイーツを、
敏感肌でも安心な日焼け止めクリーム1点、
日焼け止め入りオールインファンデ5点、
日焼けダメージケアしてくれるヘアオイル10点、
限定アイコスメ3点付きコスメボックス20点。
10点、とどかない。
10点届かないのに、10点届かないけど、
来月発売のアイコスメ付きボックスが、ほしい。
ぜひ実用と保管用に2個。
欲を言えば、3個。
1個は手に入れた。残り1〜2個。
とどかない。 届かないのに、 ほしい。
「うぅぐぁぁああうぁぅぁ……」
私が自分の生活費と、推し活費と、その他諸々を考えながら、500円✕10点分、あるいは30点分をどうやって捻出しようか悶絶してると、
「またガチャか」
前職からの私の先輩が、お昼ご飯から帰ってきた。
「ガチャじゃない。コスメ。5千円か1万5千円」
「はぁ」
「ガチで実用全ツッパなコスメなの。今オールインファンデとアイコスメの2個付けてきてるけど、ガチでイイの。可能ならあと2個欲しいの」
「そうか」
「届かないの。届かないのに、欲しいの」
「もう少し安いのでも良いのでは?」
「十分安いよ。アイシャドウとライナーとマスカラと、道具と収納箱付いて1万円だよ。破格だよ」
「十分高い、のでは?」
「普段アイメイクしないから先輩そんなこと言えるんだよ。ガチだよ。格安だよ……」
とどかない。 届かないのに、 ほしい。
ガチャを諦めるか生活水準下げるか、コスメボックス1個確保できたしそれで満足するか。
私の苦悩はずっとずっとぐるぐる回って、
なんの解決方法も出てこないまま最初に戻る。
「うぅぅ、あと10点、違う、あと30点。
うぁぅあぐあぁぁぁぅぁぅぁぅ、あうぅぅ……」
「悩むほどカネがないなら5千円にしておけ」
「あるの。 あるけど、ガチャ用で生活費なの」
はぁ。 先輩は私の苦悩に小さなため息を吐いて、自分の仕事に戻る。そろそろ昼休憩終了だ。
「せんぱい。どうしよ。私、食費、光熱費」
「たまにはガチャを控えたらどうだ」
「だってルー部長が呼んでるぅぅ」
どうしよう。とどかない。届かないのに。
私は昼休憩終了2分前まで、苦悩して葛藤して、先輩から再来週のボーナスのハナシを聞いて、
今年入ったばかりの私にボーナスが出るのか、出ないのか、副館長にガチで聞きに行った。
結果としては、ほんの少しだけ、出るらしかった。
6/18/2025, 3:45:45 AM