陽月 火鎌

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ようやく、手が届く。
他者を踏み台にしながら手を伸ばす。
届け、届け、届け。

やっと、届いた。これで私はこの、じご、くを、ぁ………”また”糸が切られ…最下層へと落とされる。
ここはいくつもの階層が存在する地獄。
時折現れる天の糸を登って地上を目指す、醜き亡者の群れを押し退け糸へと手を伸ばす、それが日常。

⸺あぁ…また最下層からやり直しか………。
地上は高く、いつも亡者を見下ろしている。

【地上を夢見る亡者は両の手では足りない】

10/14/2024, 11:47:04 AM