『1年前』
代わり映えがなさすぎて覚えてない、と言いたいけど結構私が違ってるかな。
1年前は毎日1分1秒が進むのをただ待ってた。通院してて。薬飲んでて。それで頭と一緒に時間も止まってて。何も記憶に残らない生活してた。それまでは言われた罵倒を毎日毎日反芻しては謝罪して、それをぐるぐる繰り返す、やっぱり記憶に残らない生活してた。
それが薬で嘘みたいに静かになって。だけど同時に知ってた言葉とか知識とか記憶の形状とかも頭から出てこなくなった。目に映ったものが何をしてるのかも頭に入ってこなくなった。代わりに心は凪いで穏やかになって微笑むのは簡単になった。人は、それを喜んでくれた。
可笑しいよね、心を直すために頭壊すんだって知って。それまでの全部、誰も要らなかったんだって知って。私が世界を捨てたのは確か今頃だったと思う。
6/16/2024, 2:12:10 PM