半袖
貴方は半袖を着ない。
貴方の傍らにはクッション。
もう片方にはブランケットを兼ね備えていつだって眠りこけている。
指定の真っ白なカーディガンを着て、
伸ばしっぱなしの髪を垂らして、
大きな黒縁メガネをかけた貴方に肌を見せる隙なんてない。
ぼんやりとした大きい目はうつらうつらと彷徨っている。
厚いまぶたは今にも閉じてしまいそうで。
どうか眠らないでと心のなかで嘆願する。
眠った貴方には隙が出来てしまうから。
カーディガンの下の制服、その下の素肌。
真っ白な肌に刻まれる無数の傷跡。
夏にはインナーを着れない貴方。
どうかまだ眠らないでいて。
半袖を着れない貴方。
冬まで眠らないでいて。
その隙を知るのはあたしだけでいいから。
7/25/2025, 8:21:19 PM