見下すような目に苛立ち、
思わず奥歯をギリッと噛み締めた。
ボロボロになった体を奮い立たせ、なんとか立ち上がる。
プルプルと震える脚。
痛みの走る肩。
使い物にならない左腕。
とてもじゃないが圧倒的に不利だ。
しかし眼光は鋭く、耳を劈くように声を響かせる。
──────まだやれる。
まだ、終わってない。
やっと立っていた程度の足で大地を蹴る。
ヒーローになり損なった僕が、這い上がるチャンスはココしかない。
弟に言った、『にいちゃんはヒーローなんだぞ』という言葉を本当にするんだ。
お前を守るために。
【力を込めて】2024/10/07
10/7/2024, 2:29:12 PM