もっと知りたい
そう思えたならば、幸せだったのかもしれない。
ボクはポツリ、一粒の雨のように小さく呟く。
不思議と空は晴れているのに、雨は降ってた。
その雨は黒く、黒く、黒く、苦い味だった。
まるで、甘いケーキが焦げた灰を味わったような感覚。
もっと知りたい、と思うほど、ボクはそのケーキを食べる。
苦くて、悲しくて、辛くて、美味しくない灰のケーキ。
不思議と、味わい続けたから麻痺していたのに、感覚がなかったのに、思い出した。
ボクは、そのケーキを食べるのを何十年も止めなかった。
結果、味が分からなくなった、が、
味が分かると、食べるのを止めた。
そのケーキは、まるで知れば知るほど、灰の味がするからだ。
「もっと知りたい、そう思えたならば、幸せだったかもしれない。」
そんな事をポツリ、綺麗に晴れた青空の日に、心は一粒となる。
ボクは、幸せだったかな、もっと知れたら───なんて。
そんな事を思いながら、
食べていたケーキを綺麗な青空に向かって灰を散らせる。
そうすれば、苦い灰は消えて、綺麗な青空となる。
もっと知らない方が、幸せかもしれない。
なんて、ポツリ、まるで乾かない空に呟きながら。
3/12/2026, 12:27:39 PM