「何してる」
「初雪が……」
雨模様を気にするように手のひらをかざして、そんな彼にならって男も隠していた両手をさらして。
「初雪か」
春の綿毛とも区別のつかない、ちいさなちいさなひかり。
別段発光していなくとも、見分けられるのはそのおかげ。瞬くようにちらちらと。
閃くようにぴかぴかと。
現に彼の瞳をみれば、贈り物を授かるようなひかりかたをしている。
「すごい」
どうしたと尋ねる前に、「みてよこれ」と差し出され。
手ぶくろのうえには、ちいさなちいさな晶のもと。
「凄いな」
「すごいです」
「綺麗だな」
「きれいですね」
おそらく以前も二人で見た光景を、交わした言葉をなぞらえる。
あの時はたしか、こうだったか? 男が再度手をかざした。
贈られるひかりはちらちらと乗り、瞬くまに姿を消す。
くくくと彼が笑った。
その暖かく包まれた手のひらを見て、男は口を尖らせ、笑った。
【手のひらの贈り物】
12/20/2025, 12:00:53 AM