好きになれない、嫌いになれない
連絡先を交換して1年が経った。季節イベントに誘ってみたり、休みを合わせてご飯や飲みに出掛けたり。県内をドライブしたり、1回は県外にも小旅行に行ったりした。仲良くなってはいる。お互いに思うことはあっても、友愛や家族愛の濃度は増したと思う。
ただ、段々と君の優先順位が変動している。
ほろ酔い以上に酔っていれば優先順位は高い。理由は単純で、足元が覚束ないせいとずっと構ってくれるから。君は酔っている時に話した内容は丸っきり覚えていないけど、それでも寝るまでずっと自分の方を見てくれている。
アルコールを摂取していない状態の君はいつだってスマホやゲーム機とにらめっこで、話し掛けたって生返事だ。すぐに怒るし自分の知らない誰かと行った旅の思い出話を聞かせてくれる。だから優先順位は低め。
「毎日一緒に過ごす友達よりも、月に1回会えるか分からない友達を優先する」
君は確かにそう言った。その考え方には同意する。但し、だからといって毎日一緒に過ごす友達を蔑ろにしていいわけではないと自分は思っている。君もきっとそう思ってくれているとは思う。自分との約束を反故にした数日後に、君は別の友達の為に早起きをして出掛けていったれど。
約束を反故にされる度に君の優先順位は下がる。どうにも君を信頼することが出来なくて、好きになれなくて、君の中の自分は都合の良いただの便利な人間で友達ですらないのではないかと勝手に落ち込む。
それなのに君は「結婚式をするなら」「一緒に住んだら」と未来の話をするようになった。未だにプロポーズの返事もしていないくせに、まるでこの人は自分から離れることなんてないと確信しているみたいに。だから嫌いになれない。
4/29/2025, 12:05:34 PM